動き,食い,語り,生きる
動くこと
今日は東方オタクの友人とデートしてきた.
お互いにホームセンターに用事があったので,軽自動車を使ってホームセンター巡りをしていた.
僕はカラビナフックが必要だった.
鍵をチャラチャラさせるために,カラビナが必要になった.
友人はCDとかいろいろを収納するためのチェストなりラックなりを探していた.
ホムセン箱とか折りたたみ箱とかいろいろ見ながら,候補を探していった.
最終的には組み立て家具の本棚を買った.
軽自動車でも十分に積めるサイズだったので,僕の華麗なドライブで無事彼の家まで家具を送り届けた.
買い物の後は,公園に行ってきた.
3日前に何気なしに行ってみた公園である.
いいところだったので,彼を連れて行ってみようと思い,実際に行ってみた.
想定外なことであったが,どうやら公園内のバラ園が満開だという情報を入手した.
なのでそこに行ってみた.
途中,道に迷った女性が居たので,道案内役を務めつつ,バラ園に向かった.
なんだかんだでにぎやかな散歩になったと思う.
バラ園につくと,想像の8倍くらいのバラが咲き誇っていた.
おそらくは100を超えるであろう栽培品種が,一面に競って咲いていた.
我々のバラもあった.
こいつは我々の心を狙って奪っていく.
いやらしい
ちなみに僕のイチオシはこのバラだ.
令の風という品種らしい.
白い花弁の内に漆黒の深紫を讃えた姿が,とても印象的であった.
本来の花弁の色はピンクであるらしい.
その秘めた熱量が漏れ出ているのか,蕾は真紅の姿をしていた.
開いた花も,きっとどこかで,まだ熱がくすぶっているのだろう.
そんな姿が,僕に重なっているように感じた.
僕も彼らと同じように咲き誇れるよう,今を生きようと思った.
公園を散歩していると,3日前に出会ったご立派様が,さらにご立派になっていた.
とんでもない成長速度である.
竹はすくすくと育つというが,想像の10倍くらいのスピードで成長していて,もう驚きの声も出ない.
3日前にしていたたけのこの濃い匂いも,もうしなくなっている.
ご立派様はもう,竹の子と言うには,子供でなくなっているのだろう.
僕もまた,子供ではない.
かと言って,まだ大人にもなりきれていない.
僕は,何者でもない.
竹がこれだけの時間でここまで成長するのなら,成長痛もまたとんでもなく痛いのかもしれない.
痛みに耐え,空を突こうと背を伸ばしているのかもしれない.
僕はその痛みから,一度逃げてしまった.
その結果,逃げたという痛みが,今でも僕の心を突き刺している.
僕もまた,その痛みの分だけ,成長できるのだろうか.
公園を散歩していると,地球のマジョリティは人間でも,動物でもなく,植物なのだということを思い知らされる.
自治体が保護し,管理している公園ではあるが,それでも自然の雄大さはとてつもないものであることが,否応なしに伝わってくる.
気がつくと,小高い丘に登っていた.
公園を覆う木々の森を見渡すことができる,草原の丘だ.
公園の周囲にあるはずの街は,木に遮られて見ることができない.
遠くに見える送電線だけが,人の名残を感じさせる建造物だ.
脚の疲れから,原っぱに腰を下ろした.
なかなかに清々しい気持ちになった.
月並みだが,自分とはちっぽけな存在なのだなと思った.
そんな感じに,今日は活動していた.
無軌道無計画な一日の過ごし方だが,なかなかに面白いものである.
非日常は,日常から一歩踏み出したところに広がっているのだ.
就活を始めてからというもの,僕は少し変化に寛容になってきたのかなと思う.
依然として就職活動という行いはつらいものであるが,そこに付随している自己変革は,きっと僕にとって薬なのだと思う.
楽という時に草冠が付いて薬になるのだ.
自然の中で,自然に楽しむことは,きっと薬なのだろう.
動くことによって,僕は生きているのだと,そう思う一日だった.
食うこと
昼飯にはラーメンを食ってきた.
北海道系の炒り味噌とんこつである.
縮れ具合の良い中太麺が特徴だ.
昼飯どこ行こうかとなったので,ドライブルートの途中にあった良いラーメン屋に入った.
僕オススメのラーメン屋なので,ここなら完璧だと思い提案した.
濃さで言ったら濃ゆい部類なので,友人の舌に合うかは少し不安だった.
とある北海道系の味噌ラーメンの店を好きと言っていたので,おそらくは大丈夫だろうという予測のもと提案したのだが.
結果としては,好評なようであった.
僕がオススメするのだから当たり前であった.(手のひらドリル)
僕の味覚はそこそこに良い部類なので,僕が美味いと感じるものは素直に美味いと言えるものである確率がそこそこ高いようである.
美味さの理由はよく考える方の人間だと思うが,普段からそういうことをしていると,人に飯屋を勧める際に的中率が上がるような気がする.
夕方になると,いつものようにカフェに入った.
就活相談に乗ってもらうためである.
カフェでケーキを食っていた.
まさにデート現場である.
僕が女の子だったら,きっと完璧だったのだろう.
しかし悲しいかな,僕は男の子なんだな……
僕が食べたのは,レモンチーズだった.
レアチーズケーキが大好きなので,もちろんこれも大好物だ.
とても美味しかった.
帰宅後は,レアチーズケーキを作った.
あまりにも作りなれたケーキであるから,ものの30分でケーキは完成した.
明日のアルバイトに,持っていこうと思う.
食事というものは,なかなかに業の深い行いである.
僕は今日という一日で,牛や豚といった畜産物から,どれだけの糧を得たのだろうか.
ラーメンの麺には,相当量の鶏卵が使われていた.
名古屋コーチンの高い栄養価は,今もなお僕の体に熱量を与え続けている.
とんこつスープにもまた,おぞましい量の豚のガラが消費されていたはずだ.
昼飯だけでも,相当な畜産物の結果を摂取した.
チーズケーキという食物もまた,牛の結果をふんだんに利用したものである.
気がおかしくなるほどに乳製品を使い,チーズケーキはつくられる.
草ばっか食ってる生物が,どうしてこんな美味しいものを生成できるのか,まったくもって自然というものは謎である.
木を下から見上げると,その大きさに戸惑うことがある.
クヌギやナラは,相当な時間をかけ,あの大きさまで育っていく.
そうした木を切り,燃やし,炭にして,僕たちは肉を焼く.
すごい量の植物の犠牲のもとに,バーベキューという業の深い行いが実行される.
僕はそのすべてを,僕の糧とすることができているのだろうか.
きっと,それはできていないのだろう.
自然に支えられた分だけ,この世界に僕の生きた痕跡を,証を,感謝の証明を,残したいと思っている.
それでもそれを成すには,僕の人生というものは空虚がすぎる.
いや,それをできている人間など,この世のどこにも居ないのであろう.
エントロピー増大の法則に基づいて,僕はエネルギーを拡散させ続ける.
僕は,そうした存在である.
その業から逃れることは,不可能なのだろう.
ならば,それを受け入れなければならない.
僕は自然を喰らい,無に還し,生きている.
そのように,生きているのだ.
語ること
今日も今日とて,就活相談をしていた.
今現在執筆中のエントリーシートが,書き終わらないのだ.
だから,友人の彼に僕がどう見えるかを,ずっと聞いていた.
どうやら僕は,行動のオーバーヘッドが特殊であるらしい.
運動神経も悪いし,反射速度もなかなかに遅い.
身体を動かすということに関しては,相当に不器用な存在だ.
身体動作をするたびに,必要のないことや動作を交えようとする.
結果として,なんかもっさりした動きをしたり,変な動きをしたりする.
物事によってはそれが良い方向に向かう場合もあるが,基本的には標準的な運動パターンと比較して,異質かつ低品質な運動をすることになるのだ.
思考速度は,かなり早い部類であると思う.
物事を考えること自体も好きだが,おそらくは反射的に思考回路をフル回転させる特性があるのである.
人間が生物として備わっている行動の特徴にミラーリングというものがある.
鏡像的に,他者の行為を真似る行いである.
どうやら僕は,そのミラーリングがあまり得意ではないようだ.
他人の行為を反復する際,必ずその前に反芻をしてしまう.
相手の放った言葉を反復しようとしても,別の語彙に変換して言葉を返してしまうのである.
無意識に,自分の解釈を確認しようとする癖があるようだ.
僕の特性のひとつとして,知識の共有より,経験の共有を好むというパターンがあるようである.
僕は,知識の共有にあまり価値を感じない.
一次情報が内包する,発信者の主観こそが,僕が好む情報の正体である.
相手の体験を自分の目線でトレースすることで,異なる世界を覗き込もうとする行動パターンを持っているのだ.
造詣の深い人間と会話しているとき、他者の体験を垣間見ている.
そこに自己投影をしているとき,僕は無上の悦びを感じているのである.
僕は相当に近視眼的なものの見方しかできない.
何かを伝える際,客観的な事実を述べることが下手くそなのだ.
「僕はこう思ってます」「僕はこう見えてます」「僕はこうしました」
僕が何かを他人に伝達する際,僕は主観でしか物事を語ることができない.
自分の見えてる世界,触れているもの,感じていることが,僕にとってすべてだ.
そこの外にあるものは,すべて空想として妄想に耽ることしかできない.
それが僕という人間の,思考パターンだ.
見えないものを想像という補正をかけて観測する行為は,きっと多くの人間が行っていることである.
僕はその補正プロトコルが特殊すぎるようである.
僕というブラックボックスに対して何かを入力すると,そこそこに不思議な回答が返ってくるらしい.
僕はそれを無意識に行っているが,ちょっと解析してみると,どうやらそれは主観に塗れた情報の塊に変換されているようなのだ.
友人からは,相当に人や組織に対して誠実な人間だとも評された.
彼からすると,僕は他人の苦手なことを率先してやれる人間のように見えるらしい.
過去の自分を振り返ると,確かに僕はそうした行為を,無意識的に行っていた.
自分なりの合理主義に基づき,人の幸福を最大化させる選択肢を,無意識の内に選んでいた.
僕の行動は,団体の幸福度を最大化させるように働いているらしい.
最高ではなく,最良に導くために,無意識に自分というリソースを団体に捧げることができる,そういう悲しい生物なのだという.
確かに,僕は他者のために自己犠牲を躊躇わない人間である.
僕という人生は,常に痛みの中にあった.
僕の信奉する合理性と正義によって,理不尽の対象となる人間をかばうこともあれば,心象を悪くしてでも事態の本質をあらわにするよう,権利者に楯突くこともあった.
適材適所を自分に対して求めているようだとも,友人からは言われた.
人に対してはそれを求めず,自分だけ完結しようとする癖があるとも言われた.
それは美徳だが,悪徳でもあるのだろう.
団体にへの帰属意識は薄いが,寄与したいという意識は異常なまでに高い.
色を混ぜて一色になるよりも,自分という異色を絡めてアートに仕上げる作業が,きっと好きなのだろう.
そしてそのアートを良くするために,自分が醜い色になることを躊躇わないのが,自分という人間の正体だ.
僕は,傲慢さを受け入れられないという,もっとも酷い傲慢を抱えている.
僕は主観の中に生きている.
それを揺るがすものに,強い忌避感を覚えている.
僕は,かくあるべきだから,かくあらんとする人間である.
僕という人間が内包するブラックボックスが導き出した合理性を下に,あらゆるものごとをロジカルに処理する人間である.
こうするべきだという理由を積み重ねて,アクションを起こす装置である.
それを無意識に実行する,そういうインターフェースが,僕という人間だ.
僕という人間は,くだらなさを愛している人間でもある.
おやじギャグが大好きで,ライフワークのようにそれを行っている.
クソアニメも大好きだし,クソゲーだって大好きだ.
人を不幸にしないコンテンツは,この世において貴重な存在なのだと思っている.
毒にも薬にもならないけど,腹は膨れるようなコンテンツは,僕にとって,かけがえのなく大切なものなのだ.
他にもいろいろな視点から僕という人間の解像度を上げようと試みた.
結果としては,僕はシンプルにややこしい人間であることがわかった.
そうした行動パターンが,結果として身勝手なことをしているのではないかと,他人の目にはそう映るらしい.
自分という人間を誤解されたくないから,すべてを伝えようとするのが僕の悪癖だ.
誤解を恐れずに話すこと,誤解されても喋れることが大切だと,友人は言う.
こと就職活動に限って言えば,それは更に重要であると.
誤解されていても,まぁ輪郭は伝わるし,相手が誤解を解こうとしてきたら,自分を話すきっかけになるのだと.
いろいろと自己認知が深まったので,これらの情報を下に,改めてエントリーシートを書いてみようと思う.
さしあたっては,明日の内に書き上げてしまいたい.
自己認知は,自己開示を前提として始まる.
壁打ち相手として僕の与太話に付き合ってくれる友人には,感謝しかない.
実のところ,彼は僕と同類のようである.
すべてがすべて同じというわけではないが,主観でしか生きることのできないという特性においては,相当に同種の人間だ.
だからこそ信頼できるし,自己開示がスムーズに行くのだろう.
彼は嘘をつかない.嘘をつくことを,行動原理の一部として嫌っている.
彼から見えた僕という人間の像は,真実であると信頼できる.
そうした対話を経て,僕という人間は生きている.
生きているのだ.
生きること
今日は生きることを,実直に実行した.
自然の中で活動し,自然を喰らい,自然から生まれたイレギュラー性について語り合った.
これの連続が,きっと生きるということなのだろう.
きっと僕は,死ぬまで僕という人間を理解することができない.
それでも今日,僕は僕という人間の真実に,一歩近づけた気がする.
生きることで,僕は真実を知るのだ.
逆説的に,真実を知らんとすることで,僕は生きることができるようだ.
実直に,誠実に,真摯に,自分の生に向き会うことが,僕が生きるために必要なことなのだ.
さて,明日はアルバイトだ.
そこそこに暇な時間もあるので,休憩時間等を使ってエントリーシートの内容をまとめようと思う.
ついでに30分で作ったケーキも持っていこう.
僕の味覚が美味いと判断したスイーツだ.
きっとこの世の幸福値を最大化するように作用してくれることだろう.