イドのなんらか

TRPGしたりキャンプしたりするITエンジニアの人間が書く雑記

FEオタクに焼肉をおごられるなどした話

焼肉をおごられた

今日は焼肉をおごられる予定があったので,おごられてきた.

僕に焼肉をおごってくれるイケメンの正体は,とあるFEオタクだ.

今日は彼を迎えに行き,僕の地元まで連れて,旨い焼肉屋に行くことになった.

 

アホみたいな渋滞にハマった

東京23区に居を構える彼の邸宅にお邪魔するため,およそ50kmほどの距離を軽自動車で走破することにした.

軽自動車なので,高速道路は避けることにした.

それでも,およそ1時間半のドライブだ.

 

神奈川から東京に向かう道は,以前に走った事があるので道に迷う心配はなかった.

23区内特有の分かりづらい車線は気に食わないが,まぁ十分に行けるだろうと判断していた.

つまりは,僕ならこの程度のドライブなら余裕だと,そう思っていた.

 

蓋を開けてみると,なかなかどうして想像通りに事は運ばないものである.

渋滞込みでもだいたい1時間半から2時間はかかるかなと踏んでいた道程は,実際に走ると3時間を要した.

おぞましい量の渋滞にハマり,想像の倍の時間を要することになったのである.

 

そのため,10時に合流しようという計画は儚くも崩れ去り,1時間後の11時に落ち合うこととなった.

遅くても10時30分にはつけるかなと見積もっていたが,現実はいつも想像の上を行ってしまうようだ.

 

これも学びである.

何事も,学びなのだ……

 

城に招かれた

想定外の時間を要したものの,無事彼と合流することには成功した.

Google Mapでお互いの位置情報を共有していたので,合流自体は手早く済んだ.

 

合流後は,彼の城に向かった.

どうやら今は都内のマンションの一室に住んでいるらしい.

あまりそう行った家に入ったことがなかったので,期待に胸を膨らませてお邪魔した.

 

中は,まさに「城」と呼ぶにふさわしい空間だった.

「女子更衣室」の札が掲げられた扉を抜けると,彼の王座が顔を覗かせる.

ゲーミングデスクにゲーミングチェア,3面のモニタが,趣味に生きる姿勢をこれでもかと誇示していた.

 

彼のことは,緑色が好きな人間だと記憶していた.

実際にそのとおりで,彼の自室は緑色で染められていた.

その事実に,強い安堵の心を感じたことを覚えている.

お互いに変わったところもあったが,一方で変わらないところもあるのだという,そんな当たり前なことに,安堵したのだ.

 

王の間には,マッサージチェアも鎮座していた.

モニタを回転させると,自室にシアターが誕生する仕組みだ.

私生活はなかなかに充実している様子だった.

 

「社長室」の札が書かれた扉を開けると,トイレが鎮座していた.

なるほど,これは確かに社長室だった.

 

彼の城に着いた頃には,すでに昼食の時刻を迎えていた.

彼が用意した「ツナマヨきゅうり」に舌を包み,空腹を満たしていく.

 

マヨネーズは偉大だ.

シーチキンも偉大だ.

そしてきゅうりもまた,偉大な食物だ.

 

僕はかつて,きゅうりという食べ物が嫌いだった.

味が苦手なわけでもないし,普通に食べられるし,なんなら醤油につけてかじるという行為は好きであった.

しかし,サラダだったり炒めものだったりと,何かと食事に割り込もうとするきゅうりは,邪魔だったので嫌いだった.

 

最近になって,きゅうりは漬け物や和え物にすると最高に美味しいという知見を得た.

たたききゅうりの和え物は美味しいし,浅漬けも美味しい.ぬか漬けだって最高だし,ピクルスも素晴らしい食べ物だ.

 

何が言いたいかというと,彼の作った「ツナマヨきゅうり」は,かなりの美味だったということだ.

やはりきゅうりは和え物にするに限る.

 

昼食のデザートは,アンパンマングミである.

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アンパンマングミスタンドの勇姿

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アンパンマングミスタンドの御姿

アンパンマングミスタンドにアンパンマングミを乗せて,記念写真を撮った.

ちなみに今日のデートの写真は,これだけである.

それだけ僕を夢中にさせた彼は,相当なイケメンなのだろう.

 

ちなみにワイングラスに入っているのはレモンスカッシュとほうじ茶である.

決してスパークリングワインとクラフトビールではない.

飲酒運転は決してしていないので,安心である.

 

昼食後は,どういうわけかNetflixオリジナルアニメ「天空侵犯」の鑑賞会が始まった.

とんでもないクソアニメと聞いていたが,実際にとんでもないクソアニメだった.

 

1話20分+OP+EDの,至って普通のアニメであったが,体感時間は1話あたり1時間くらいあった.

カブトボーグ級の体感時間である.

 

あまりのきつさに,2話で視聴を断念した.

残りは,僕が自主的に視聴しておこうと思う.

うん.きっと視聴しよう.きっと.

 

その後は,彼自慢のかき氷機でかき氷をご馳走になった.

ブルーハワイシロップがあったので,ブルーハワイ味のかき氷を食べた.

 

コロナうんぬんでお祭りの関連がすべて消滅したから,かき氷を食べるのは随分と久しぶりだ.

せっかくなので,お祭りでは考えられないほどの量のシロップをかけてもらった.

最期まで味が濃くて美味しかった.

 

消化器官が弱いので,かき氷自体の量は少なめにしてもらった.

それでもアイスクリーム頭痛が発生した.

この痛みが,かき氷を食ってるという実感を与えてくれた.

 

そんなこんなで,彼の城で3時間ほど,同じ時を過ごした.

同年代の一人暮らしの様子は新鮮で,なかなかに面白いものであった.

 

ドライブした

焼肉屋の開店時刻に間に合わせるため,15時から僕の地元に向うことにした.

近くの駐車場に停めていた自動車を取りに行き,ドライブが始まった.

 

道のりは,行き道の逆回しであった.

23区内はそこそこに混んでいたが,そこを抜けると,後はあっという間だった.

 

所要時間としては,1時間50分程度だろうか.

行きと比べると,圧倒的な短さである.

 

しかし,体感時間はさらに短かったと思う.

やはり誰かを助手席に置いて運転しているからなのだと思う.

独りよがりでない運転は,自然と誰かのことを想えるから,心地が良いのだと思う.

 

会話しながらする運転は純粋に楽しいし,いろいろな発見もある.

交通ルールのうんちくを語るのも面白い.

気づいたこと,感じたことを言葉にしていく作業は,5年間かけて身体になじませた運転という行為に,新しい視点をもたらしてくれる.

 

もっと安全に,もっと快適に,そしてもっと楽しく運転をしたいと,今ならそう思える.

運転を恐れていた以前の自分とは,振り返ると結構な変化があったのだ.

そう思えるのは,きっと僕が他人を知ろうとしたことの恩恵なのだろう.

 

もちろん,運転に対する恐れは,今も抜けてはいない.

恐れは安全を担保するための良いツールであるが,時に余計な思考に時間を割かせ,不都合な自体を引き寄せる要因にもなり得る.

だから,恐れて縮こまるのはやめようと思えたのは,僕にとって福音なのだ.

 

実のところ,僕と彼にはあまり共通の話題はなかった.

それでも会話が成り立っていたのは,彼が用意してくれた烈火の剣のサントラのおかげだろう.

 

彼はFEオタクだが,僕は烈火と封印をやっただけのにわかエムブレマーだ.

だから,話題として切れる手札は,烈火と封印だけしかないのだ.

 

何かがあるたびに,ゲームミュージックとは,偉大なものであると感じさせられる.

ある曲が流れるたびに,ゲームをプレイしてるある場面を思い出す.

それはふたりとも同じ場面であることもあれば,全く違った感傷を持っていることもある.

 

僕は烈火の剣とその周辺の知識や経験やうんちくを語れるにすぎない.

対して彼はファイアーエムブレムシリーズ全体を通して,そうしたものを持っている.

オタク度でいえば,比べるまでもなく完敗である.

 

それでも会話が成り立つのは,ゲームを通じた「経験」を語っていたからなのだろう.

初見はどうだったかとか,どういうプレイスタイルだったとか,どういう計画を立てていたとか,あるある話とか,そういう個人の経験をベースにした語りは,どれだけ自分がそのコンテンツに精通していても,語り手の魅力として出力されるのだ.

 

僕が最初に死なせてしまったユニットは,フロリーナだった.

リン編で仲間になった次のターンに,山賊の斧とアーチャーの矢を受けて沈んだ.

次の話になっても返ってこなかったので,仕方なくリセットした.

 

次に死んだのは,ヘクトルだった.

マリナスを野営から守る章で,傭兵にかち割られた.

キャラロスか……と思っていたら,ゲームオーバーになったので驚いた.

そこで初めて,ヘクトルがロードであることを知った.

 

正式に戦死が記録されたのは,ギィだった.

愛着を持って育てていたが,最終章でバサークをもらったラスに襲われて即死した.

リヤンフレチェを持った遊牧騎兵は,とても危険なんだなということを知った.

 

こうした話は,まぁFEをプレイしていればあるあるなことだと思う.

それでも面白い会話として成立しているのだから,捨てたものではないのだろう.

 

そんなこんなで,ドライブの時間も過ぎ去っていった.

 

焼肉を食った

17時に焼肉屋についた.

開店時刻ピッタリの到着である.

 

入ったのは,味ん味んという焼肉屋である.

相模原市発祥の店で,今では同市の他,西東京を中心にいくつか店舗を出している.

いい肉がお値打ち価格で食べられる,良い焼肉屋さんだ.

 

店に入ると,テーブル席に着いた.

僕たちが1番乗りである.

 

初手はロース,ハラミ,そしてミスジを頼んだ.

ミスジというのは,最強クラスの部位だ.

ちなみに価格も最強クラスだ.

後は飲み物を頼み,肉を待った.

 

七輪が届くと,まもなくして肉も届く.

ロースとハラミを焼いて食う.

やはり味ん味んの肉は旨い.

 

ミスジも焼く.

こいつは肉の旨味がすごいから,タレを付けずに食うのがポイントだ.

焼いたら食う.旨い.

 

ご飯が欲しくなったので,ライスを頼んだ.

ドライバーは僕なので,お酒飲んで大丈夫だよと彼に伝えた.

しかし結局,彼はお酒を飲まなかった.

 

そう,まん延防止うんぬんと緊急事態うんぬんで,店側が酒類の提供をやめていたのである.

美味しい酒がお値打ち価格でたくさん飲めるのも味ん味んの魅力のひとつなので,ちょっぴり悲しい気持ちに包まれた.

 

飲めないものは致し方ないので,改めて追加の肉を頼むことにした.

牛タンやブリスケ,和牛ロースなどを頼んだ.

もちろんネギ塩もだ.

 

味ん味んの肉はどれも美味しい.

その美味さはさながら,相模原市民の叙々苑と言ったところか.(友人談)

和牛ロースなど,もはやロースと呼ぶのがおこがましくなるほどにサシが乗っていてやわらかい.

 

70分くらい経過した段階で,千切りキャベツを頼み忘れていることに気がついた.

こいつは最高に美味しいサイドメニューで,最初に頼むべきものなのだが,完全に失念していた.

彼はキャベツが好きらしいので,惜しいことをした.

早速,1つ注文した.

 

肉も追加した.

味噌ホルモンを1つに,ハラミをさらに1皿,そしてザブトンを頼んだ.

肉たちは,千切りキャベツと同じくらいのタイミングで着弾した.

 

キャベツは好評であった.

彼はまたたく間にキャベツを平らげると,また1皿分のキャベツを追加していた.

 

ザブトンは,これもまた素晴らしい肉だった.

希少部位でお値段的にもぐっとくるものがあるが,美味しさは折り紙付きだ.

 

そして味噌ホルモンも,これもまた美味しいのだ.

やわらかホルモンみんみん風という名称なのだが,ほんとうに柔らかい.

ホルモンが苦手な人間でも美味しく食べられる,まさに入門用とも呼べるホルモンだ.

こいつは味噌ダレをたっぷり付けて食うのが基本だ.

彼も旨いと言ってくれたので,頼んだかいがあったと思う.

 

ラストオーダーは90分経過時点だったので,最期にカイノミを頼んだ

サイコロ状に切られた希少部位を,じっくりと焼きながらダベろうという算段だ.

 

ついでに僕はハニートーストも頼んだ.

ここのハニートーストは地元のパン屋のパンを使っていて,かなり美味しいのだ.

すでに腹9分目に差し掛かっていたが,これを外すことは僕にはできなかった.

 

あとはカイノミを食いつつ,ハニートーストを貪りつつ,七輪の暖かさに触れつつ,雑談をして,時は過ぎていった.

 

ひとつ気づいたこととして,カイノミの肉の甘みは,ハニートーストのそれよりも強いという発見があった.

Japanese Wa-Gyuの凄さを,改めて再認識することになったと言えよう.

 

会計は,全額を彼に支払ってもらった.

そう,おごってもらったのだ.

 

僕は1万5千円くらい食べちゃったかな……と思っていた.

この額を払わせるのは忍びないと.

 

彼は2万円くらいは食ったと思っていたらしい.

うまい肉を相当量食ったのだから,それも当然だろう.

 

実際の会計は,1万円に満たない額だった.

味ん味んのコスパの高さが,身にしみてわかる額だった.

このレベルの肉を他所で食ったら,まぁ倍額はするだろうという感じだ.

 

しかしておごられの額は,5千円ほどに登る.

目がくらむほどの金額ではないが,それでも大金だ.

僕が就職したら,今度は僕からおごりに行こうと思う.

 

一日が終わった

そんなこんなで,一日が終わった.

いろいろとあった一日であったが,終わってみるとあっけのないものでもあった.

 

味ん味んを出ると,僕は彼を駅まで送り届けた.

23区まで送る時間も余裕もなかったので,近くのターミナル駅まで送るにとどめた.

 

本当は自宅までと行きたかったが,往復すると僕の帰宅時間が24時を回るので,そういう形となった.

彼には1時間以上の電車帰りを強要することになってしまい,申し訳ない気持ちになる.

 

それでも,僕はそれに感謝をしなければならない.

何より,彼が僕に気を使ってくれたのだ.

明日に就活を控える僕のことを案じて,そういう形をとってくれたのだ.

 

ならば好意をありがたく受け取るのが,僕の礼儀というものだ.

この借りは,焼肉のツケと一緒に返していこうと思う.

 

さて,今日は彼といろいろなことを話した.

僕の記憶が薄れる前に,思ったことや感じたこと,興味深いトピックなどを書き記しておこうと思う.

 

僕が彼に対して驚いたのは,彼は別に孤独に対して何かを感じているわけではなかったということだ.

失礼だが,彼が僕に声をかけたとき,「ああ,こいつも孤独を感じてるんだな」と思っていた.

そうでなければ,どうしてニートの僕などに声をかけるだろうかと.

 

実際に会ってみると,彼は特段,そうではなかったようだ.

何を思ったかアニメ天空侵犯を見て,唐突に誰かにおごりをしたくなったから,僕に声をかけてくれたらしい.

なかなかどうして変人である.

 

彼は孤独であることに,あまり苦痛を感じないと言っていた.

一人でも得られる幸せを,確かに保持しているのだ.

 

振り返ると,確かに彼の城は,彼が幸せになるためのものがたくさん詰まっていた.

こだわって買った家具や家電,そしてその配置や状態は,すべて彼の幸福のためにあるものなのだ.

そして彼は,誰かにそれを自慢したかったのだ.

 

なるほど,彼はなかなかどうして孤独を愛している人間だ.

それと同時に,立派な人間だと思う.

自分の幸せを探求して,自分でそれを実現できるのは,人間として尊敬せずには居られない.

 

対する僕は,孤独に慣れているが,孤独が得意ではなかった.

集団の中にいることは苦手で嫌いだが,一人で居る寂しさに勝つこともできなかった.

誰かと一緒に居るということは,ストレスだが,刺激的でもあるからだ.

 

僕はそのバランスが,若干孤独に寄っているのだと思う.

僕はとても内向的な人間であるが,その内面を広げるために,外的な力を頼っているのだ.

 

なるほど,そう考えると彼の凄さがわかるかもしれない.

彼は内面を広げるために,自らの力で自分の世界を拡張しているのだから.

 

僕たちは,ゲームを遊ぶのが大好きな人種だ.

とりわけ僕らは,自分がプレイすることで完成する作品を好む.

 

BotWなどはその典型例だろう.

ブレワイのハイラルは,僕がリンクとなることで完成する.

それと同時に,彼が過ごしたハイラルもまた,どこかに存在しているのだ.

 

僕らにとってゲームとは,そうした自分だけの空想上の世界を形作る,夢と魔法の道具なのだ.

 

叶うならば,記憶を失くしてでももう一度やり直したいゲームがある.

そのゲームに初めて触れて,作品を完成させた,そういう経験をもう一度したいと,僕らに望んでいる.

そしてそのたびに過去の自分の記憶と比較し,楽しみたいと思う自分がいるのだ.

 

だがそれは叶わない.

痛烈に焼き付いた記憶だから,失くすことなどできやしない.

だから次善策として,対話を通じ,人の体験を垣間見ようとするのだ.

 

僕はそれを,ゲーム以外の物事にも適用しようとしている.

勉学を,仕事を,人生そのものを,体験として垣間見るために,僕は人とのつながりを望んでいるのだ.

 

だから,彼と話していると,楽しいという感情が湧き出てくるのだろう.

彼は数少ない「本物」のオタクで,彼はとことん主観としてゲームを語る.

だから,彼は信頼できるのだ.

 

そんなことを思った一日だった.

 

気がつくと,7000文字近くの文章になっていた.

今日はここあたりで締めようと思う.

 

明日は午後から説明会や面談がある.

今日と同様に早起きをし,動き,喰らい,語り,そのように生きようと思う.